苦手だったダブテイル (写真のような箱の組み方を言います) が最近好きになってきました。
この加工は、ざわざわした気持ちで取り掛かると絶対に成功しないという特性があり、
まずそこがもうすでに苦手ポイントだったと思います。
以前は『ダブテイル』というだけで拒否反応。
必要に迫られる場合以外は、「いかにしてこの問題に触れないようにするか」ということを考えていたものです。
周りの職人さんがこの加工をサクサク当たり前のようにこなす姿は宇宙人としか思えません。
無論今も、「苦手」が「ちょっと好き」になっただけで悲しいかな得意でも上手いでもないのですが、「気持ちのざわざわを消さないと向かい合えない相手」というところを楽しめるようになったのだと思います。
この加工はおもしろいところがまだまだあって、
うまく組めないときはいつも、ごくごく小さなことが弊害になっている所なんかその一つです。
「なんだ、これだけのことか!」という位わずかなことが影響している場合が多いです。
その原因を見間違うと、全然関係ないところを削ってしまって墓穴を掘る形になります。
今まで隙間がなかった所に隙間が空いてしまって大失敗です。
「人間の世界もこんなことってたくさんあるよなー。ダブテイルってすごいなー。」といつも思います。
またこの組み方のすごい所は、苦労して組んだ後には抜群の安定感があるということです。
この先の長い時間を任せられる安心感があります。
やっぱり、すごいです。
家具に興味のある方もない方も、ぜひ気にして見てみてください。
現在、札幌芸術の森・工芸館展示ホールにて『北海道の木の椅子 100人100脚展』が開催されています。
私も先週末行ってきました。
100脚ぜーんぶ、触ったり座ってみることができます。
友人の息子君が私作の椅子に座ってくれました。キューン!
100人のプロが作った100脚の椅子…とても見ごたえがあります。
そして皆さんやっぱりすごい…。身の引き締まる思いです。
この展示は8月18日(日)まで開催しています。
入場無料ですのでぜひ行ってみてください。
詳しくはこちら→
一年前、この工房を始めた頃
「工房の前にある木の名前くらい知っておこう。」と思って調べたことがあります。
木を樹皮で判別するのは難しいので、葉っぱの形で調べる本で探したのですが
どうもこの葉っぱは『ドロノキ』という木に似ている…。
「『ドロノキ』…。なんてロマンのない名前…!!
似てるけど、ちょっと惜しいところもあるから『ドロノキ』ではないかもしれない…!」
…なんて淡い期待を抱いていたら
ある日、一夜にして工房前がこんなことに。
『ドロノキ』決定の瞬間でした。
季節は巡って、またこの綿毛達と闘う日々がやってきたようです。
先日、夫が出張のお土産に買ってきてくれた猫の置物が可愛くてしかたありません。
『いってらっしゃい、ご主人さまー』と言っている口の形に見えるのは私だけでしょうか。
今日はごみ箱の話題を少し。
『手抜き・即席・無骨』…の三拍子が揃った自作のごみ箱。
わざわざ写真に撮る価値もないような…な気もするのですがこれが意外と重宝しています。
通常、木屑はほうきで集めたら集塵機につながっているダクトの口まで持っていき、集塵機に吸ってもらいます。
…が、集めた木屑の中には小さい木片や切れ端も混ざっていて
これらを集塵で吸ってしまうと、木片は 『ガンゴンガンゴンガン!!!』 と凄まじい音をたてながら金属製のダクト内を旅して行き、長さのある切れ端などは道中で引っかかって集塵の吸いが悪くなる…といったことを引き起こします。
集塵機にとっても良くないので、木片や切れ端は手作業で取り除くのですが、これがけっこう大変なのです。
そこで自作したごみ箱…。
100円ショップで売っている焼肉用の網を上に乗せました。
ゴミを入れると…
網をトントンと叩けば小さい木片だけが網の上に残ります。
これはスグレモノ~!
網の大きさとごみ箱本体の大きさが合っていないのですが
これは、網の大きさに箱を合わせてしまうとごみ箱としてサイズが小さすぎる…と思ったので大きくしたのですが
この微妙に空いた空間がときどき便利なような、不便なような…感じです。
最近、仕事用にストップウォッチを買いました。
普段から仕事中は「この加工に何分かかった」というのを逐一記録しているのですが
「後でまとめて書こう…」とつい何工程もためてしまうと、書くときになって頭が混乱するということがよくあります。
また、途中で来客があったりして作業を中断したときは、お客様が帰ったあとに
「あれ?何時から中断していたか思い出せない…。」 ということもしばしばあって困っていました。
そこで思いついたのが『ラップの取れるストップウォッチ』です。
使ってみるとすごく便利!
工程の順番さえ覚えていれば、一日の終わりにまとめて記録することができて大助かりです。
先日の日曜日は季節限定『菜の花カフェ』に行ってきました。
友人K君の菜の花畑に青空カフェ。
友人N君のコーヒー屋さんが出店していておいしいアイスコーヒーをいただきました。
ついでに菜の花を摘んでムシャムシャ食べる。
「 おいしいーーー! 菜の花おいしいーーー! 」
ムシャムシャ。
その場で素敵な出会いもたくさんあって、自然の中でとても贅沢な時間でした。
この写真は別の日に撮った夜の菜の花畑。
菜の花と出会った方達からたくさんエネルギーをもらいました。
最近いただいたものを並べてみました。(ありがとうございます!)
・小鹿田焼のどんぶり
・チェブラーシカのマトリョーシカ
・相馬アクリルたわし
相馬アクリルたわしはひとつずつに編み手さんのメッセージが書いてあって「ジーン…」とします。
チェブラーシカのマトリョーシカは、見た瞬間
「!!!」
…開けたらこうなるとしたらこの耳はどう収まっているんだろう!!
とワクワクしたら
こうでした。
ちょっと残念…。
でも繋ぎ目の精巧さにまた「ジーン」とするのでした。
先月、アトリエキイコはおかげ様で1周年を迎えました。
あっという間の1年でした。
今から1年前、工房の中はまだまだごった返しているのに
「5月28日からはじめよう」ということにだけこだわって無理矢理スタートしたのを覚えています。
なぜその日にこだわったかというと
2年前の同じ日に、私がスウェーデンで『Gesäll』という職人の資格を頂いたからです。
『Gesäll』の称号を得るためには
「ちょっと命を削る」くらいでは収まらない、「だいぶ命を削る」試験があります。
私も命の大半を削った末に(まさに当時はそういう心境)その試験を通過したのですが
同時に「今の自分はこの称号に全く見合っていない」と思った瞬間でもありました。
そしてこの度、自分の工房をはじめて1年が経ち
(まだ1年しか経っていないのですが)ある決断をしました。
今頂いているお話を最後に、注文家具の制作を辞めようと思います。
この1年考えていたのは
・ 自分の作りたい家具と「作ってほしい」と言われる家具の距離がどんどん開いていくこと
・ 思うよりたくさんは作れないということ
・ 今の方法では「将来こうなる」というビジョンが全く描けないこと
…などなどです。
注文家具の制作を辞めるということは
これからは「自分が形にしたいと思う家具一本でやっていく」ということですから
それは社会になにか還元できる仕事なのか、
地域のためになるのか、
自己満足で終わりはしないか、…とたくさん悩むところがあったのですが
どう考えても、注文家具とオリジナル家具を並行してやっていくということは今の私の力量ではできません。
今一度原点に戻って「なぜ家具を作れるようになりたかったのか」と問われれば
「『こんな家具があったらいいな』と思うイメージが自分の中にたくさんあったから」、「それらの家具に囲まれて暮らす生活は絶対に楽しいと思ったから」です。
後悔しないために、自分らしく自分ができることをやっていこうと思います。
なお、現在頂いているお話は誠意を持って努力させて頂きます。
相変わらずあまっちょろい言い分ですが、今後ともよろしくお願いいたします。
渡邊季意子
5月2日~6日まで、帯広市のとかちプラザにて開催されるイベントに参加します。
絵を描く夫と atelje.KiiKO のコラボ作品を展示させていただきますので
今年のゴールデンウィークはぜひとかちプラザへお越しください。
第32回おびひろ市民芸術祭
『 田園都市のコンテンポラリーアート 緑と風の器 2013 』
2013年5月2日(木)~6日(月)
午前10時~午後6時 ※最終日は午後4時まで
(会場がアトリウムのため午前9時~午後10時まで鑑賞可能です。)
会場 とかちプラザ アトリウム