Potatis スツール できました
新商品、Potatis(ポタティス)スツールができました。
Potatis(ポタティス)とはスウェーデン語で「じゃがいも」のこと。
一見、何の変哲もないよく見る形のスツール…ですが、この形にはいろんな思いが込められています。
名前の由来は、コロコロと不格好なじゃがいもみたいな形だから…ではありません。
結果的に「 あれ? じゃがいもみたいになっちゃったな…。 」ということにはなってしまいましたが…。
昨年、東京にお住まいのお客様より、スツールの制作依頼をいただきました。
お客様の家具への愛情とこだわりが伝わってくるそのご依頼は、とても難航しそうな予感がしましたが
どうしてもそれにお応えしてみたいという気持ちが勝ってしまい、お引き受けすることにいたしました。
そのスツールは、お客様のご要望ですでに5つの条件がありました。
「スツールで5つの条件って、それってもう形はひとつですよね……!??」(←本音)
というところに
『そこにアトリエキイコさんらしさを出してください』
……という素通りできない一文が……!!
これは相当悩みました。
ほぼ形が決まっているものに、どうやってオリジナリティを出したらよいのだろう…。
あれこれ奇抜なものを考えてみるも、その自由度も「ご予算」というものに阻まれる…。
予算内で作れる、というだけで自分だったら絶対欲しいとは思わないな…という絵しか描けずにいました。
— じゃあどんなスツールを自分は作りたいんだろう? —
思い出したのはスウェーデンで生活していた頃に、借りていた家のハウスオーナーの奥様から修理を頼まれたスツールです。
ハウスオーナーさんは70代のご夫婦でしたが、ご両親も家具が好きで色々集めていたということで、古くて素敵な家具がたくさんあるお家に住んでいて
私はその古い家具を時折修理して、家賃に代えてもらったりして暮らしていました。
ある時、「これは大事なスツールだから修理してほしい」と頼まれたスツールがありました。
形こそ平凡で、よくあるタイプのスツールでしたが
奥様のおばあ様がそのスツールに座ってジャガイモの皮をむいていたのだそうです。
70代の奥様のおばあ様が愛用していたスツールです。
受け取った瞬間、その愛された時間と、詰まっているであろう思い出の数々に心からジーン…としてしまいました。
「こんな愛され方をするスツールを作りたい」と思いました。
…そんなことを思いだし、「形は平凡でも、やっぱり永く愛される家具を作りたい!」という方向性で気持ちが固まった時、
お客様からのメールの内容で、「ソファの横でサイドテーブルとして使うことが多い」という一文にオリジナリティを出せるのではないかと閃きました。
そうして出来たのがこの、サイドテーブルとして使いやすいことにこだわった、ちょっとまぬけな形のスツールです。
脚の角度は、より膝下に寄せやすいように。
座面の形は、自分に寄り添おうとしている丸の形…。
目指すのは、スウェーデンで出会ったあのスツール……ということで『Potatisスツール』と名付けました。
「ぶかっこうだけど、そこが可愛いでしょ?」
…と言っているようなスツール、出来ました。